旧暦10月、全国の神々が出雲の地に集うとされる特別な期間、神在月。この時期の出雲大社には、普段とは違う神聖な空気が流れ、スピリチュアルな体験を求める多くの人々が訪れます。
しかし、神在月の効果とは具体的にどのようなものなのでしょうか。また、なぜ神様が集まる理由があるのか、期間中に行われる神在祭の詳細、さらには出雲に行かない神の存在についても気になるところです。
神在月以外の参拝は意味がないのか、知らずに犯してしまいがちな出雲大社のタブー、そして出雲大社に行ってはいけない人に関する言い伝えまで、様々な疑問が浮かぶかもしれません。
この記事では、それらの疑問に一つひとつ丁寧にお答えし、あなたの参拝がより深く、意味のあるものになるよう解説していきます。
出雲大社の神在月、そのスピリチュアルな魅力とは

神在月の効果でご利益は高まるのか
結論から言うと、神在月の出雲大社では、通常よりもご利益の効果が高まると広く信じられています。一年でこの時期だけ、日本全国から八百万の神々が出雲に集結されるからです。
普段はそれぞれの土地を守っている神々が一堂に会することで、出雲大社の境内は強力で神聖なエネルギーに満ち溢れます。この特別な期間に参拝することで、その凝縮された神々の気に触れることができ、心身が浄化されると感じる人も少なくありません。
多くの神様に一度に願い事を届けられるため、その願いが叶いやすくなるとも言われています。
また、神在月には「神議り(かみはかり)」と呼ばれる神々の会議が行われます。ここでは、人々の縁結びをはじめ、来年の天候や農作物の収穫など、目には見えない様々な事柄が話し合われると伝えられています。
そのため、この時期の参拝は、特に恋愛だけでなく、仕事や人間関係など、あらゆる「良縁」を結ぶ力が強まると考えられているのです。
神在月のご利益が高まる理由
- 全国の神々が集まることで、境内が強力な神気で満たされる
- 多くの神様に一度に願いを届けられる
- 縁結びなどを決める「神議り」が行われる期間である

神々が集う特別なタイミングに合わせて参拝することで、その計り知れないご利益を授かれると期待できそうだね
それが神在月の最大の魅力と言えそうね

神様が集まる理由とされる国譲り神話

神在月に全国の神々が出雲へ集まるのには、日本の神話に由来する深い理由があります。その根幹にあるのが、古事記などに記されている「国譲り神話」です。
この神話によれば、出雲大社の主祭神である大国主大神(おおくにぬしのおおかみ)は、かつて豊葦原中津国(とよあしはらのなかつくに)、つまり日本の国土を治めていました。しかし、天界を治める天照大御神(あまてらすおおみかみ)からの要請を受け、その国を天照大御神の子孫に譲ることを決意します。
その際、大国主大神は国を譲る条件として、「私の住処として、天の神々がお住まいになるのと同じくらい壮大な宮殿を建ててほしい。そうすれば、私はそこに隠れて、目に見えない世界のこと(幽事)を治めましょう」と申し出ました。これが、出雲大社の創建の由来とされています。

そんな歴史があったのね。知らなかったわ
幽事(かくりごと)とは?
「幽事」とは、人間の目には見えない世界や、人知の及ばない領域のことを指します。具体的には、人々の運命や縁、魂に関することなどが含まれます。これに対し、目に見える現実世界や政治のことは「顕事(あきつごと)」と呼ばれます。
この約束に基づき、大国主大神は「幽事」を司ることになりました。そのため、年に一度、全国の神々が大国主大神のもとへ集まり、人々の縁結びや来年の収穫、健康といった目に見えない事柄について話し合う「神議り」を行うようになった、というのが、神々が出雲に集まる最も有名な理由です。
その他の説
国譲り神話の他にも、いくつかの説が存在します。
- イザナミへの孝行説:日本の神々の母であるイザナミノミコトが10月に出雲で亡くなったため、その法事のために子どもである神々が集まるという説です。
- 陰陽説:陰陽道では10月が「極陰の月」、出雲が「極陰の場所」とされ、世界の再生のために全ての「陽」である神々が集まるという考え方です。

これらの説が複合的に絡み合い、出雲の地に神々が集うという現在の信仰が形作られてきたと考えられています
神在祭など期間中に行われる主な神事

神在月の期間中、出雲大社では神々をお迎えし、もてなし、そしてお見送りするための一連の神聖な神事が行われます。これらの神事は、一般の参拝者が見学できるものもありますが、神聖な儀式であるため、敬意を払い静かに見守ることが大切です。
神迎神事(かみむかえしんじ)・神迎祭(かみむかえさい)
旧暦10月10日の夜、出雲大社の西にある稲佐の浜(いなさのはま)で、全国から到着された神々をお迎えする神事です。浜辺に御神火が焚かれ、神々の依り代となる神籬(ひもろぎ)が立てられます。
神事の後、神籬は龍蛇(りゅうじゃ)神に先導され、参拝者も続く厳かな行列で出雲大社へと向かい、拝殿で「神迎祭」が執り行われます。
神在祭(かみありさい)
神々が出雲に滞在される旧暦10月11日から17日までの7日間、連日行われるお祭りです。この期間、神々は出雲大社の摂社である上宮(かみのみや)や、本殿両側にある宿舎「十九社(じゅうくしゃ)」で神議りを行われるとされています。
このお祭りは基本的に非公開ですが、境内での参拝は可能です。地元では、神々の会議の邪魔にならないよう静かに過ごす「御忌祭(おいみさい)」とも呼ばれています。
縁結大祭(えんむすびたいさい)
神在祭の期間中の特定の日に、一般の参拝者も参加できる特別なご祈祷が行われます。良縁を願う多くの人々が参列し、神々の前で幸縁が結ばれるよう祈願します。参加には事前の申し込みが必要です。
神等去出祭(からさでさい)
旧暦10月17日の夕刻、神議りを終えた神々がそれぞれの国へお帰りになるのをお見送りする神事です。拝殿での祭典の後、宮司が本殿の楼門を叩きながら「お立ち〜、お立ち〜」と唱えると、神々は出雲大社を去られると伝えられています。

いろいろなお祭りがあるのね。でも注意点もあるからチェックしてね
これらの神事は観光イベントではありません。斎場内への立ち入りやフラッシュ撮影は固く禁じられています。神様の通り道とされる場所を歩かないなど、現地の指示に従い、厳粛な雰囲気を壊さないよう最大限の配慮を心がけましょう。
2025年版の神在月の日程
神在月は旧暦の10月に行われるため、毎年日付が変わります。2025年(令和7年)に出雲大社への参拝を計画している方は、事前にしっかりと日程を確認しておくことが重要です。
2025年の旧暦10月は、新暦の11月20日(木)から12月19日(金)にあたります。出雲大社で神事が行われる中心的な期間は以下の通りです。
旅行の計画を立てる際は、これらの神事の日程を参考に、航空券や宿泊先を早めに予約することをおすすめします。特に神事が行われる日は大変混雑が予想されます。
神事名 | 日付 | 時間 | 場所 |
---|---|---|---|
神迎神事・神迎祭 | 11月29日(土) | 19時〜 | 稲佐の浜、出雲大社拝殿 |
神在祭 | 11月30日(日) | - | 出雲大社御本殿など |
縁結大祭 | 12月1日(月) | - | 出雲大社御本殿 |
神在祭・縁結大祭 | 12月4日(木) | - | 出雲大社御本殿など |
神在祭・神等去出祭 | 12月6日(土) | 16時〜(神等去出祭) | 出雲大社御本殿、拝殿 |
上記は主要な神事の日程です。期間中は他にも「夜神楽祈祷」などが連日行われます。最新かつ詳細な情報は、必ず出雲大社公式サイトでご確認くださいますようお願いいたします。
期間中に授与される限定お守りとは
神在月の特別な期間には、この時期にしか手に入れることができない限定のお守りが授与されます。全国の神々の力が宿るとされ、通常のお守りよりも強力なご利益が期待できると大変人気があります。
神在祭御守(かみありさいおまもり)
神在祭の期間中のみ、出雲大社の授与所でいただくことができる特別なお守りです。災いを避け、開運へと導く力が強いとされています。良いご縁を引き寄せたり、大切な商談をまとめたりと、様々な場面で神様のお力添えをいただけることでしょう。
神在祭御守は、神聖な期間の特別なエネルギーが込められているため、参拝者の多くが求められます。数に限りがあるわけではありませんが、記念としてぜひ手に入れておきたい逸品ですね。
龍蛇神(りゅうじゃしん)のお守り
こちらは出雲大社ではなく、境内にある「北島国造館(きたじまこくそうかん)」で授与されるお守りです。
龍蛇神は、神迎神事の際に神々を先導する重要な役目を担う神様で、豊作や豊漁、家門繁栄にご利益があるとされています。特に縁結びや幸福をもたらす力が強いとされ、新しい出会いを求める方におすすめです。

お守りの取り扱い方も理解しておきましょう!
お守りのご利益は、一般的に1年間とされています。常に身近な場所、例えばお財布やバッグなどに入れて大切に持ち歩きましょう。1年が過ぎたり、願いが叶ったりした際には、出雲大社に直接返納するか、近くの神社の古札納め所に納めて感謝の気持ちを伝えるとよいでしょう。
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留守を守る出雲に行かない神の存在
神在月には全国の神々が出雲に集まると言われていますが、実は全ての神様が出かけてしまうわけではありません。それぞれの土地を離れることができない「留守神(るすがみ)」と呼ばれる神々もいらっしゃいます。
もし全ての神様が不在になってしまうと、その土地の安全や人々の暮らしを守る存在がいなくなってしまいます。そのため、神様たちの間にも役割分担があり、出雲へは行かずに各地を守護する神様がいると考えられているのです。
代表的な留守神としては、以下のような神々が挙げられます。
- 恵比寿様(えびすさま):七福神の一柱で、商売繁盛や大漁の神様です。
- 大黒様(だいこくさま):五穀豊穣や財運の神様として知られます。
- 道祖神(どうそじん):村の境界や道端におり、災厄が侵入するのを防ぐ神様です。
- 竈の神(かまどのかみ):各家庭の台所(かまど)におり、火事や家族の健康を守る神様です。
また、伊勢神宮の天照大御神のような最高位の神様も、出雲へは行かずにそれぞれの場所から国全体を見守っているとされています。

全部の神社の神様が出雲大社に集合するわけじゃないんだね
よく考えたら最高神のアマテラス様が出掛けるわけに行かないよね

諏訪大社の面白い伝承
長野県の諏訪大社のご祭神である建御名方神(たけみなかたのかみ)は、体がとても大きいため、出雲まで行くと他の神様が座る場所がなくなってしまうと遠慮して、諏訪の地を離れないというユニークな伝承も残っています。
このように、神在月であっても日本中の神社が空っぽになるわけではありません。安心して地元の神社へもお参りし、日々の感謝を伝えることができます。
神在月以外の参拝は意味がないのか

「神様が集まる神在月に行かないと意味がないのでは?」と考える方もいるかもしれませんが、結論として、そのようなことは全くありません。神在月以外の時期に出雲大社を参拝しても、十分に大きなご利益を期待できます。
その最大の理由は、出雲大社の主祭神である大国主大神は、神在月に限らず一年を通してずっと出雲の地に鎮座されているからです。縁結びの神様として知られる大国主大神は、いつ訪れても私たちの願いに耳を傾けてくださいます。
むしろ、神在月以外の時期に参拝することにはメリットもあります。自分自身のペースでじっくりと神様と向き合いたい方には、混雑を避けられる通常期の参拝がおすすめです。
神在月以外の参拝のメリット・注意点
- メリット:神在月特有の喧騒がなく、広大な境内を静かで穏やかな気持ちでゆっくりと参拝できます。心静かに祈りを捧げたい方には最適な環境です。
- 注意点:神在祭や縁結大祭といった特別な神事は行われません。また、限定のお守りなども授与されていないため、これらを目当てにする場合は神在月に訪れる必要があります。
重要なのは、いつ参拝するかよりも、心を込めて神様に感謝と祈りを捧げることです。あなたの都合の良いタイミングで出雲大社を訪れ、清々しい気持ちで参拝することが、最も良いご縁に繋がるのではないでしょうか。
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参拝前に知るべき出雲大社のタブー

神聖な場所である出雲大社を参拝するにあたり、知らずに神様に対して失礼な行いをしてしまわないよう、いくつかのタブーや作法を知っておくことが大切です。敬意を払った振る舞いを心がけることで、あなたの願いも神様に届きやすくなるでしょう。
服装に関するタブー
神様の前に進むのですから、過度にラフな服装は避けるべきです。特に、露出の多い服装(タンクトップやショートパンツなど)や、ジャージ、サンダル履きなどは望ましくありません。清潔感のある、きれいめな服装を心がけましょう。また、鳥居をくぐる際や拝殿の前では帽子を脱ぐのがマナーです。

ラフすぎる格好は神様に失礼だから注意しましょ
参拝作法に関するタブー
出雲大社での参拝作法は、他の多くの神社と異なる点が最大の特徴です。
一般的な神社は「二礼二拍手一礼」ですが、出雲大社では「二礼四拍手一礼(にれいよんはくしゅいちれい)」が正式な作法です。心を込めて、4回手を合わせましょう。
また、お賽銭を投げる行為は神様にお金を投げつけることになり、大変失礼にあたります。お賽銭箱には、そっと滑らせるように丁寧に入れましょう。

出雲大社は拍手の回数が4回です。間違える人が多いので参拝時は気をつけましょうね
境内での振る舞いに関するタブー
鳥居をくぐった先は神域です。参道の中央は「正中(せいちゅう)」と呼ばれ、神様が通る道とされています。私たちはその道を避け、参道の左右どちらかの端を歩くようにしましょう。
また、境内の木におみくじを結びつける行為もタブーです。木々も神様からいただいた大切な命であり、傷つけてしまう恐れがあります。おみくじは、指定された「みくじ結び所」に結ぶようにしてください。
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出雲大社に行ってはいけない人の特徴

強力なパワースポットである出雲大社には、「呼ばれる人」がいる一方で、「今はまだ参拝する時期ではない」とされる人、いわゆる「行ってはいけない人」に関するスピリチュアルな考え方も存在します。
これは決して排他的な意味ではなく、その人の状態やタイミングが合わないことを示唆していると言われています。
これから紹介する内容は、あくまで古くからの言い伝えやスピリチュアルな観点に基づくものです。科学的根拠はなく、過度に気にする必要はありません。一つの考え方として参考にしてください。
歓迎されていないサインが現れる人
出雲大社へ行こうと計画しても、なぜかスムーズに進まないことがあります。これは、神様が「今はまだその時ではない」と教えてくれているサインかもしれません。
- 予定日に急な仕事や体調不良が起こる
- 交通機関の遅延や渋滞で、なかなかたどり着けない
- 道に迷ってしまう
このようなことが続く場合は、無理をせず、時期を改めて参拝を計画するのが良いでしょう。
ネガティブな気持ちや邪念がある人
神社は願い事をする場所ですが、同時に日々の感謝を伝える場所でもあります。他人の不幸を願うような邪念や、自分の欲望だけを押し付けるようなネガティブな気持ちで参拝するのは避けるべきです。清らかで前向きな心で神様と向き合うことが大切です。
繭気属性(けんきぞくせい)の相性が合わない人
スピリチュアルな世界には、万物を5つの属性(地・水・火・風・空)に分ける「繭気属性」という考え方があります。出雲大社は「地」属性の神社とされており、相性の悪い「水」と「空」の属性の人は、ご利益を得にくいという説もあります。ただし、この場合でも、祈願ではなく「感謝」を伝える参拝であれば問題ないとされています。

いろいろあるけどあまり考えすぎるのもよくないかもね
行きたいと思った時が参拝のタイミングなのかもしれないわね

まとめ:出雲大社と神在月のスピリチュアルな世界

この記事を読んでくれたあなたに、素晴らしいご縁が訪れますように