「厳島神社の鳥居は、本当に海に浮いてるの?」宮島を訪れる多くの人が、一度はこんな疑問を抱くのではないでしょうか。潮の満ち引きでその姿を大きく変える大鳥居は、とても神秘的ですよね。
この記事では、なぜ厳島神社の鳥居が海の中に建てられているのか、その歴史的な背景から、現代の技術でも驚くべき鳥居の構造、そしてどうやって建てたのかという先人の知恵まで、詳しく解説していきます。
さらに、約60トンにもなる鳥居の重さや、台風や地震に見舞われてもなぜ倒れないのかという秘密にも迫ります。合わせて、鳥居の素材や朱色の塗料に隠された機能性、訪問前に必ずチェックしたい干潮時間、そして意外と知られていない厳島神社のタブーについても網羅的にご紹介します。
厳島神社の鳥居は浮いてるかの謎を徹底解説

なぜ海の中?神聖な島ゆえの理由
厳島神社の象徴である大鳥居や社殿がなぜ海の中に建てられているのか、その理由は、宮島(厳島)そのものが古くから「神の島」として崇められてきたことにあります。
もともと島全体がご神体として信仰の対象であったため、神聖な土地に建物を建てて傷つけることを避けるという考えがありました。このため、社殿や鳥居は陸地ではなく、潮の満ち引きがある海上に建てられることになったのです。
言ってしまえば、人が住む俗世と神が鎮まる聖域を分ける意味合いも込められています。この独特の配置が、世界にも類を見ない海に浮かぶ神社の景観を生み出しているわけですね。

海に建つ赤い鳥居って神秘的よね♪
豆知識:最初は対岸から拝んでいた
厳島神社が創建された当初は、人々は神の島である宮島に渡ることすら恐れ多いと考え、対岸の地御前(じごぜん)に遙拝所(ようはいじょ)を設けて、そこから島全体を拝んでいたと伝えられています。現在の「地御前神社」がその名残です。
海水に耐える特別な鳥居の素材
常に海水にさらされる大鳥居には、その過酷な環境に耐えるための特別な素材が使われています。
主となる2本の柱(主柱)には、耐久性や耐水性に優れ、腐りにくく、さらに防虫効果も高い「楠(くすのき)」の自然木が選ばれています。楠は独特の香りを持つことでも知られ、この香りの成分が虫を寄せ付けない効果を発揮します。
一方、主柱を支える4本の袖柱(そでばしら)には、杉の木が用いられています。そして、印象的な朱色の塗装にも秘密があります。
この塗料は「光明丹(こうみょうたん)」といい、ただ美しいだけでなく、鉛を含むことで防腐や防虫の効果を高める役割を果たしているのです。先人たちは、見た目の荘厳さだけでなく、建物を長持ちさせるための実用的な知恵も持ち合わせていました。
海上に自立する大鳥居の構造

厳島神社の大鳥居は、海底に深く埋め込まれて固定されているわけではありません。驚くべきことに、鳥居自体の重さだけで海上に自立しているのです。
この独特の構造には、いくつかの工夫が凝らされています。
大鳥居の構造のポイント
- 両部鳥居(りょうぶとりい):主柱の前後を袖柱で支える形式で、安定性を高めています。
- 箱型の屋根:鳥居上部の屋根部分(笠木・島木)は箱状になっており、その内部に重しとなる石が詰め込まれています。
- 根継ぎ(ねつぎ):傷みやすい柱の根元部分は、定期的な修理の際に新しい楠に取り替える「根継ぎ」という修復が行われます。
これらの工夫が組み合わさることで、海底に固定されていなくても、どっしりと安定して立ち続けることが可能になっています。

固定されていなくて鳥居の重さで自立してるだけってすごいね
この仕組みを考えた人天才すぎ!

驚きの重さが安定性の秘密
前述の通り、大鳥居は自らの重さで立っていますが、その総重量はなんと約60トンにもなると推定されています。これは、大型トラック(10t車)6台分に相当する重さです。
この圧倒的な重さが、鳥居を海底にしっかりと押し付け、安定させる最大の要因となっています。特に重要な役割を果たしているのが、鳥居上部の屋根部分です。
この部分(笠木・島木)は箱状の構造になっており、中には約4トン分もの小石がぎっしりと詰め込まれています。この石が「重し」となり、鳥居全体の重心を安定させ、波や風の力に負けない強度を生み出しているのです。

60トンもの重さで、ただ「置いてあるだけ」というのが驚きね
まさに自然の力と人間の知恵が融合した建造物だね

先人の知恵!鳥居はどうやって建てたのか
約60トンもの鳥居を、不安定な砂地の海底にどうやって建てたのでしょうか。ここにも、先人たちの驚くべき知恵と技術が隠されています。
鳥居の真下の海底には、「千本杭(せんぼんぐい)」と呼ばれる伝統的な地盤改良の工夫が施されています。これは、軟弱な地盤でも巨大な建造物の重さに耐えられるように、松の丸太の杭を何本も(30本から100本とも言われる)打ち込み、地盤を固める工法です。
そして、固められた地盤の上に石を敷き詰め、さらに「沓石(くついし)」という土台石を置きます。大鳥居の柱は、この沓石の上に据えられているのです。重機もコンピューターもない時代に、これほど大規模で精密な基礎工事を行っていたとは、日本の伝統技術の高さに改めて驚かされますね。

海に建つ鳥居ができたのは、なんと1168年(平安時代)の平清盛だと言われているよ
そんなに昔から?びっくりなんですけど!

厳島神社の鳥居は浮いてる?絶景の楽しみ方

台風でも大丈夫!鳥居がなぜ倒れないのか
自らの重さで立っているだけの大鳥居が、なぜ台風の強風や地震の揺れでも倒れないのでしょうか。その秘密は、日本の伝統建築ならではの巧みな「免震構造」にあります。
鳥居の柱は、土台である沓石に完全に固定されていません。柱と沓石の間にわずかな「遊び」があることで、地震や波、風などの外部からの力をガチガチに受け止めるのではなく、揺れを巧みに逃がす仕組みになっているのです。
さらに、屋根部分にある約4トンの重し石が、まるで「振り子」のように作用し、揺れを吸収して元の状態に戻ろうとする力を生み出します。このように、力を受け流すことで建物自体へのダメージを軽減する考え方は、五重塔などにも見られる日本の伝統的な知恵と言えます。
大鳥居まで歩ける干潮時間の調べ方

干潮時には、大鳥居の根元まで歩いて近づくことができます。その大きさを間近で体感できる貴重な機会ですが、このタイミングは日によって大きく異なります。
結論として、潮位(海の高さ)が100cm以下になると、鳥居まで歩いて行けるようになります。逆に言えば、干潮の時間帯であっても潮位が100cmより高い日は、残念ながら歩いて渡ることはできません。
潮汐表で干潮時間をチェック!
宮島への旅行計画を立てる際は、事前に宮島観光協会の公式サイトなどで公開されている「潮汐表(ちょうせきひょう)」を確認するのが最も確実です。
- 宮島観光協会の潮汐表のページにアクセスします。
- カレンダーから宮島へ行く予定の日付を選択します。
- 表示されたグラフや表で、潮位が100cm以下になる時間帯を探します。

かなり便利なサイトがあるのね♪
意外と簡単に鳥居に最も近づける時間帯をピンポイントで知ることができるよ

干潮時の注意点
鳥居の周りは、雨の日のグラウンドのようにぬかるんでいることがあります。歩きやすい靴で行くことをおすすめします。また、鳥居の真下から社殿側へは直接入れませんので、一度浜辺に戻ってから入口へ向かいましょう。

お気に入りの靴で行かないほうがよさそうね
満潮時の絶景と遊覧船での巡り方
干潮時とは対照的に、満潮時には社殿や大鳥居が海に浮かんでいるかのような幻想的な光景が広がります。この景色を見るためには、潮位が250cm以上になる時間帯を狙うのがおすすめです。
潮位250cm以上になると、社殿の床下まで海水が満ち、まさに海上の神殿と呼ぶにふさわしい姿を見せてくれます。干潮時と同じく、潮汐表で時間を確認してから訪れましょう。
満ち潮ならではの特別な体験

満潮時には、大鳥居に近づけないと思われがちですが、実は特別な方法があります。それは、遊覧船に乗って大鳥居をくぐる体験です。
時間帯 | 乗り物 | 特徴 |
---|---|---|
昼 | ろかい舟 | 昔ながらの手漕ぎ舟で、ゆったりと大鳥居をくぐります。船頭さんのガイドも楽しめます。 |
夜 | ナイトクルーズ(遊覧船) | ライトアップされた大鳥居や社殿を海上から眺めるロマンチックなクルーズです。 |

陸から見るのとは全く違う視点で厳島神社を楽しめるのでおすすめです
参拝前に知るべき厳島神社のタブー
神聖な場所である厳島神社には、訪れる際に守るべきマナーや、やってはいけないとされるタブーが存在します。知らずに失礼な振る舞いをしてしまわないよう、事前に確認しておきましょう。
厳島神社での主な禁止事項
- 大鳥居に硬貨を挟む・置く
鳥居の柱の割れ目などに硬貨を挟む行為は、ご利益があるという俗説ですが、実際には文化財を傷つける行為です。絶対にやめましょう。 - 大鳥居の内側で潮干狩りをする
大鳥居の内側は神様が鎮まる神聖な区域(神域)です。このエリアでの潮干狩りは禁止されています。 - 回廊の真ん中を歩く
神社の参道や回廊の真ん中は「正中(せいちゅう)」と呼ばれ、神様の通り道とされています。参拝者は真ん中を避け、端を歩くのがマナーです。 - 宮島の鹿にエサをあげる
宮島の鹿は野生動物です。人の食べ物を与えると鹿の健康を害したり、生態系を乱したりする原因になるため、エサやりは禁止されています。

文化財を保護し、神様への敬意を示すことにつなるのでルールは守りましょう
みんなが気持ちよく過ごせるようにご協力お願いします!

まとめ:厳島神社の鳥居は浮いてるの?
この記事では、「厳島神社の鳥居は浮いてるのか?」という疑問を軸に、その構造から歴史、楽しみ方までを詳しく解説してきました。最後に、記事の要点をリストで振り返ります。