神社の手水舎で手を清めていると、「口もすすぐんだっけ?」と迷うことがありますよね。作法として口をすすぐことは知っていても、実際に周りを見ると、手だけ洗ってそのまま拝殿へ向かう人も少なくありません。
いざ自分だけ口をすすごうとすると、「周りから変に思われないかな」「水を口に入れて衛生的に大丈夫なのかな」と戸惑う人もいるでしょう。私も、作法として理解することと、実際に人前でやることは少し別の話かなと思います。
さらに、小さな神社などでは水が流れておらず、手水鉢に雨水のような水がたまっていることもあります。こういう場合まで「作法だから」と無理に口へ含む必要はありません。むしろ、水の状態や現地の案内を確認して、自分で安全だと判断できない水は口に入れないほうが安心です。
一方、きちんと管理されている手水舎であれば、神社参拝の基本的な手水として「手を清めたあと、左手に水を受けて口をすすぐ」という作法があります。大切なのは、形だけを無理にまねすることではなく、手水の意味を知ったうえで、その場の状況に合わせて丁寧に行うことです。
この記事では、手水舎で口をすすぐ意味や正しいやり方をはじめ、すすいだ水をどこへ出すのか、水を飲んでもよいのか、口をすすぎたくない場合はどうするのかまで詳しく紹介します。
「作法を間違えたら失礼なのでは?」と緊張しなくても大丈夫ですよ。基本を知っておけば、あとは手水舎の状態や神社の案内を見ながら落ち着いて判断できます。
手水舎で口をすすぐのは必要?まず結論を確認
神社で行う一般的な手水の作法では、左手と右手を清めたあと、左手のひらに水を受けて口をすすぎます。神社本庁や伊勢神宮でも、この流れが手水の基本として紹介されています。
そのため、「正式な作法では口をすすぐの?」という質問に対しては、基本的にはすすぐと考えてよいでしょう。
ただし、ここで勘違いしたくないのが、「どの手水舎でも、どんな水でも必ず口に入れなければならない」という意味ではないことです。
水が流れていない、濁っている、異臭がする、落ち葉や虫などが大量に入っている、雨のあとにたまった水のように見える。このような場合は、無理をしないほうがいいでしょう。
そんな水を口に入れるなんて!考えるだけでも恐ろしい
手水は参拝前に心身を清めるための作法です。体調を崩す心配をしながら無理に口へ水を入れるより、手だけを清めて気持ちを整え、静かに神前へ向かうほうが自然かなと思います。
周りで誰も口をすすいでいないけれど変に思われない?
これは意外と気になるところですよね。
手水舎へ行っても、手だけ清めて終わる人や、そもそも手水をせずにそのまま参拝する人もいます。その中で自分だけ口をすすぐと、「ちょっと目立つのでは?」と感じることもあるでしょう。
しかし、左手に水を受けて口をすすぐ行為そのものは、一般的な手水の作法に含まれています。きちんと作法を行っているだけなので、周囲でやっている人が少ないからといって、おかしな行動をしているわけではありません。
わざわざ大きく口をゆすぐ必要もありません。少量の水を左手に受け、静かに口へ含み、そっとすすげば十分です。口元を左手で隠すようにすると、周囲からも所作が目立ちにくくなります。
逆に、「周囲がやっているから自分も絶対にやらなくては」と考える必要もありません。水の状態に不安があるなら、その場の雰囲気より安全を優先しましょう。
慌てずに上手にできるとスマートだね
私絶対失敗しそうだから家で練習してから行こうかな
手水舎で口をすすぐ意味と正しい作法
- 口をすすぐ意味とは?
- 手水舎で口をすすぐ正しい順番
- すすいだ水を吐き出す場所はどこ?
- 口をすすぐふりでもいい?すすぎたくない場合
- 口をすすぐのを忘れたときはどうする?
口をすすぐ意味とは?
手水舎で口をすすぐのは、単に口の中をきれいにするためではありません。神前へ進む前に、手や口を水で清め、心身を整えるための作法です。
古くは、川や海などで身体を清める「禊(みそぎ)」が行われてきました。現在の手水は、その禊を簡略化したものと説明されています。
伊勢神宮でも、手水について「手や口を洗い清めることは禊を簡略化した儀式」と案内されています。つまり、手だけではなく、口まで清めることで神前へ向かう準備をするわけですね。
口を清めることについて「普段口にしてしまった悪い言葉などを清める」と説明されることもあります。ただ、神社本庁などの基本的な案内では、もっと広く「心身を清めるための手水」と説明されています。
そのため、「何か悪いことを言った人だけが口をすすぐ」というものではありません。参拝する人が神前へ進む前に、手と口を清めて気持ちを整える作法と考えておくと分かりやすいでしょう。
手水舎で口をすすぐときの正しい順番

手水舎で口をすすぐときに、いちばん避けたいのが柄杓へ直接口をつけることです。左手に水を受け、その水を口へ運びます。
基本的な流れは次の通りです。
以前は「最初に汲んだ一杯だけですべての動作を済ませる」と紹介されることもありました。しかし、神社本庁の現在の案内では途中で再び水を汲む流れも示されています。そのため、「必ず一杯の水だけで終わらせなければ失敗」というように考える必要はありません。
手水舎に作法の案内板が設置されている場合は、その神社の案内に従うのがいちばん分かりやすいですよ。
神社へ入ってから参拝を終えるまでの流れをまとめて確認したい方は、神社のお参りの仕方を順番で解説|鳥居から退場までの参拝作法も参考にしてください。
手水の基本については、神社本庁の参拝方法でも確認できます。
すすいだ水を吐き出すのはなぜ?場所にも注意
口をすすいだあと、「この水は飲むの?吐き出すの?」と迷う人もいるかもしれません。
手水では、口に含んだ水は飲み込まず、すすいだあとに静かに外へ出します。手水の水は飲料水として用意されているとは限らないため、基本的には飲むための水ではありません。
また、すすいだ水を手水鉢へ戻すのは避けましょう。手水鉢はほかの参拝者も利用する場所です。国土交通省が公開している明治神宮の手水舎の解説でも、口をすすいだ水は手水鉢ではなく外へ出す方法が案内されています。
排水溝や排水用の場所が分かる場合は、そこへ静かに出してください。神社によって設備の形は異なるので、排水場所が分からないときは水盤の中へ戻さず、周囲の案内や構造を確認しましょう。
勢いよく「ガラガラ」とうがいをしたり、遠くへ水を吐いたりする必要はありません。少量の水を含み、口元を左手で隠しながら静かにすすぐと、周囲の人にも不快感を与えにくくなります。
口をすすぐふりはOK?すすぎたくない場合はどうする?

手水舎で口をすすぐことに抵抗がある人もいるでしょう。特に、慣れていないと「人前で水を口から出すのがちょっと恥ずかしい」と感じるものです。
また、衛生面が気になって口へ水を入れたくない人もいます。これも無理に我慢する必要はないかなと思います。
一般的な手水の正式な形としては口をすすぎます。ただし、どうしても抵抗があるなら、わざわざ「すすぐふり」をして周囲へ作法をしているように見せる必要はありません。
手だけを丁寧に清め、心を落ち着けて神前へ向かえばよいでしょう。「口をすすがなかったから参拝してはいけない」ということではありません。
特に次のような場合は、口すすぎを無理に行わないほうが安心です。
- 手水舎の水が流れておらず、長時間たまっているように見える
- 濁りや異臭など、水の状態に明らかな違和感がある
- 雨水がそのままたまっただけのように見える
- 「飲用不可」「口すすぎ禁止」などの案内がある
- 体調や衛生上の理由から口に水を含みたくない
- 神社側が手水の使用を停止している
以前の記事では、唇だけを湿らせたり、持参した飲料水で手水を行ったりする方法を代替案として紹介していました。しかし、これらが全国の神社で共通する正式な代替作法というわけではありません。
無理に独自の作法を付け足すより、「今日は手だけ清める」と判断するほうが分かりやすいでしょう。神社に案内がある場合は、もちろんそちらを優先してください。
口をすすぐのを忘れたときは戻ったほうがいい?

左手、右手と清めたところで、そのまま柄杓を戻してしまい、「あっ、口をすすぐのを忘れた」と気づくこともあります。
まだ手水舎のすぐそばにいて、ほかの参拝者の邪魔にならないのであれば、改めて手水をしても構わないでしょう。
ただし、すでに拝殿の近くまで進んでいるなら、必ず引き返さなければならないわけではありません。参拝を中止したり、最初からすべてやり直したりするほど気にしなくてもよいでしょう。
手水は神前へ進む前に心身を清めるための作法ですが、一つ動作を忘れたことで参拝そのものが失礼になる、と考えすぎないことも大事です。
「次は左手、次は右手、口、もう一度左手」と覚えておけば、次回から自然にできるようになりますよ。
手水舎で口をすすぐときに気になる衛生面
- 口をすすいだ後はどうする?
- 手水舎の水はどこから来ている?
- 手水舎の水は飲んでも大丈夫?
- 水が汚いと感じたら使わないほうがいい?
- 雨水がたまっている場合はどうする?
- 柄杓がない場合はどうやって清める?
口をすすいだ後はどうする?
口をすすいだら、まず水を静かに外へ出します。手水鉢の中へ吐き戻さないことを覚えておけば、慌てることはありません。
そのあと、口へ水を運ぶために使った左手をもう一度清めます。神社本庁でも、口をすすいだあとに左手へ再び水を流す手順が紹介されています。
柄杓を使う手水舎であれば、最後に残った水を柄に流して清め、静かに元の場所へ戻します。
ここまで終われば手水は完了です。手水舎の前で必ず深々と礼をしなければならない、といったことまで神経質になる必要はありません。案内がある神社では、その案内に合わせましょう。
また、手水のあとに濡れた手をどうするかも迷いやすいところです。ハンカチや手ぬぐいを持っているなら、軽く水分を拭き取ればよいでしょう。「自然乾燥でなければいけない」という全国共通の決まりがあるわけではありません。
細かな所作を完璧に見せようとするより、次の人が使いやすいように場所を空けることや、周囲へ水を飛ばさないことのほうが実際には大切かなと思います。
手水舎の水はどこから来ている?

手水舎で使われている水の供給方法は、神社によって異なります。
水道水を利用しているところもあれば、井戸水や地下水、湧水などを利用しているところもあります。神社によっては、その土地と関わりの深い水を「御神水」などとして案内していることもあります。
ここで気をつけたいのが、「湧水だから飲める」「御神水と書かれているからそのまま飲んでも大丈夫」と自分だけで判断しないことです。
水源が自然の水であっても、飲用できるかどうかは別の話です。実際、神社本庁が紹介している手水舎改修事例の中にも、保健所の検査を行ったものの飲料水には向いていない井戸水の例があります。
そのため、飲用可能であることが明示されていない水は、基本的に「飲むための水ではない」と考えておくほうが安全です。手水では、ほんの少量を口に含んですすぎ、飲み込まずに外へ出します。
手水舎の水を誤って飲んでしまったら?
口をすすごうとして、うっかり少し飲み込んでしまうこともあるかもしれません。
ただ、その水が安全かどうかは神社ごとに違うため、「少しなら必ず大丈夫」とは言い切れません。水道水を使っている場合もあれば、井戸水や湧水を使っている場合もあります。
まずはそれ以上飲まず、必要であれば手持ちの飲料水などで口の中を整えましょう。飲用不可の表示があった、水の状態に明らかな異常があった、飲んだあと体調に異変が出たといった場合には、その状況に応じて医療機関などへ相談してください。
そもそも手水の口すすぎでは、大量の水を口へ含む必要はありません。少量だけ左手に受ければ十分なので、飲み込まないようゆっくり行うと安心です。
水が汚いと感じたら口をすすがなくてもいい?
ここは迷わず、安全を優先してよいところです。
手水舎は屋外に設けられていることが多いため、季節や天候、設備によって状態が変わります。きれいに管理されている手水舎が多い一方、常にすべての場所で同じ水質が保たれているとは限りません。
特に、小さな神社や普段人が少ない神社では、水が止まっていたり、手水鉢だけが残っていたりすることがあります。
私はこういう場合、「作法だから口に入れなければ」と無理をする必要はないと思います。水が安全か判断できないなら、口すすぎは省略しましょう。
目安としては、次のような状態を確認してみてください。
- 水が継続して流れているか
- 「使用禁止」「飲用不可」などの案内がないか
- 水が極端に濁っていないか
- 不自然な臭いがしないか
- 大量の落ち葉、虫、ごみなどが浮いていないか
- そもそも手水用として現在使われている設備なのか
もちろん、見た目がきれいだから飲用可能だと判断できるわけではありません。「見た目がきれい=飲める」という話ではないので注意してください。
判断に迷ったら、手だけ清める。これくらいで考えておくと、神社巡りでも戸惑いにくくなります。
雨水がたまっているような手水舎では口をすすがない
小さな神社へ行くと、水道から常に水が流れているのではなく、石の手水鉢に水だけがたまっていることがあります。
前日に雨が降っていた場合などは、「これは手水として用意された水なのか、それとも単に雨水がたまっただけなのか」と迷うこともあるでしょう。
こうした水を、確認もせず口に入れるのは避けたほうがいいです。
国土交通省が紹介している雨水利用でも、雨水は水洗トイレや散水など、飲用以外の用途で広く使われています。適切に処理・管理された設備と、屋外の鉢に自然にたまった水は同じものではありません。
そのため、雨水らしき水しかない場合は「口すすぎはしない」と判断してよいでしょう。手を清める場合も、明らかに汚れているなら無理に使わず、そのまま神前へ向かって構いません。
逆に、もし隣で誰かがその水を口へ含んでいても、水質が分からない以上、「自分もやらないと失礼かな」と合わせる必要はありません。周囲の行動より、その場の状態を見て判断したほうが安心ですよ。
当たり前でしょ!口に入れるわけないわよ
柄杓がない場合の口のすすぎ方

現在は、柄杓を使わずに流水で直接手を清められるようになっている手水舎もあります。
この場合、「柄杓がないから作法ができない」と困る必要はありません。まずは手水舎に掲示されている案内を確認しましょう。
特別な案内がなければ、流れてくる水を使って左右の手を清めます。口すすぎをする場合は、吐水口へ直接口を近づけるのではなく、清めた手に水を受けて、その水を口へ運びます。
柄杓がない場合の目安
- 手水舎に使い方の案内がないか確認する
- 流れる水で左手と右手を清める
- 口をすすぐ場合は、手に少量の水を受けて口へ運ぶ
- 吐水口へ直接口をつけたり、顔を近づけたりしない
- 水の状態に不安があるなら口すすぎは省略する
設備によっては、そもそも口をすすぐことを想定していない場合もあります。現地に説明が書かれているなら、一般的な作法よりもその案内を優先してください。
手水舎でやらないほうがよい行為
ここまで読めば、手水はそれほど難しいものではありません。ただ、いくつか避けたい行為があります。
- 柄杓へ直接口をつける
- 吐水口へ直接口をつける
- 口をすすいだ水を手水鉢の中へ戻す
- 飲用可能か分からない水を飲む
- 明らかに汚れた水を無理に口へ含む
- 手水舎の使用禁止表示を無視する
- 周囲へ水を飛ばすほど激しくうがいをする
- 後ろに人が並んでいるのに長時間場所を占有する
特に「正しい作法をしよう」と思うあまり、水の状態が悪いのに口をすすいでしまうのは本末転倒です。
手水は神前へ向かうために気持ちを整える場所。作法を完璧に再現することだけが目的ではありません。
手水を終えたら拝殿へ進んで参拝する
手水が終わったら、拝殿や参拝場所へ進みます。
一般的な神社では「二礼二拍手一礼」が広く用いられていますが、すべての神社がまったく同じではありません。神社によって独自の拝礼方法がある場合は、その神社の作法を優先します。
手水だけを完璧に覚えても、そのあと拝殿で慌ててしまったらもったいないですよね。
お賽銭、拍手、お願いや感謝を伝えるタイミングまで確認したい方は、二礼二拍手一礼のお願いのタイミングや参拝マナーを初心者向けに解説もあわせて読んでみてください。
手水も拝礼も、一度で全部覚える必要はありません。現地に案内板があれば確認しながら行えば大丈夫ですし、分からないときは周囲の迷惑にならない範囲でゆっくり行えば十分です。
手水舎で口をすすぐ作法と注意点まとめ
最後に、手水舎で口をすすぐときに覚えておきたい内容をまとめます。
手水舎で口をすすぐことは、神前へ向かう前に手や口を清める基本的な作法の一つです。
ただ、「正式な作法だから、どんな水でも必ず口へ含まなければいけない」と考える必要はありません。
周りでやっている人が少ないと少し勇気がいりますし、人前で口をすすぐことに抵抗がある人もいるでしょう。そんなときは、まず手水の意味を知ったうえで、自分が無理なくできる範囲で丁寧に行ってみてください。
そして、水が明らかに汚れていたり、雨水がたまっているように見えたりしたら、安全を優先して口には含まないこと。これは覚えておきたいところです。
作法を一つ間違えないことよりも、その神社やほかの参拝者への敬意を忘れず、落ち着いた気持ちで神前へ向かうことのほうが、気持ちのよい参拝につながるかなと思います。
次に神社へ参拝するときは、手水舎の前で焦らず、水の状態と案内を確認してみてください。左手、右手、口、もう一度左手。この流れだけ覚えておけば、ずいぶん迷いにくくなりますよ。
あなたの参拝が、心を静かに整えられる穏やかな時間になりますように♪