出雲大社の神聖な砂を人にあげることは、そもそも人にあげてもいいのでしょうか。その持ち帰り方や、稲佐の浜とはどのような場所なのか、疑問は尽きません。
また、いただいた砂の効果や期間、一軒家とマンションの置き方といった活用法も気になるところです。贈り物にする際の入れ物として小瓶やお守り袋を選び、心を込めたお守りの作り方を知りたい、という方も多いでしょう。
この記事では、出雲大社の御砂を大切な人へ贈る際に知っておきたい全ての情報を、分かりやすく解説していきます。
出雲大社の砂を人にあげる前に知る基本

まず知っておきたい稲佐の浜とは
出雲大社の御砂をいただく上で、まず欠かせない場所が「稲佐の浜(いなさのはま)」です。
稲佐の浜は、出雲大社から西へ約1kmほどの場所に位置する、非常に神聖な意味を持つ海岸です。ここは単なる砂浜ではなく、日本の神話において重要な舞台として知られています。
特に有名なのが「国譲り神話」です。出雲の国を治めていた大国主大神(おおくにぬしのおおかみ)が、この浜で天照大御神(あまてらすおおみかみ)からの使者と交渉し、国を譲ったとされる場所なのです。
また、旧暦の10月には、全国から八百万(やおよろず)の神々が出雲に集まりますが、その神々をお迎えする「神迎神事(かみむかえしんじ)」が行われるのも、この稲佐の浜です。このように、神様との深い繋がりがあるため、ここの砂は特別な力を持つと考えられています。
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豆知識:稲佐の浜のシンボル「弁天島」
浜の中央に浮かぶ「弁天島」は、稲佐の浜の象徴的な存在です。かつては弁財天が祀られていましたが、現在は海の神様である豊玉毘古命(とよたまひこのみこと)が祀られています。この島に手を合わせ、感謝の気持ちを伝えてから砂をいただくのが丁寧な作法とされています。
出雲大社の御砂をいただくためには、まずこの神聖な稲佐の浜で砂を採取し、それを持って出雲大社へ向かうという、古くからの習わしを守ることが大切です。
御砂はそもそも人にあげてもいいの?

結論から申し上げますと、出雲大社でいただいた御砂(おすな)は、人にあげても問題ありません。
むしろ、神聖な場所でいただいたご利益を、家族や友人、大切な人へ「おすそ分け」する行為として、古くから行われてきました。御砂は、厄除けや浄化の力があると信じられているため、相手の幸せや健康を願う心のこもった贈り物になります。
「あなたの幸せを願っています」という気持ちを込めて贈る、素敵なギフトになりますね。ただ、神様からの授かりものであるため、贈る際にはマナーを守ることがとても重要です。
ただし、注意点もあります。それは、御砂を贈る相手に、その砂がどのようなもので、どういった意味を持つのかをきちんと説明することです。何も知らずにただの砂として扱われてしまっては、ご利益も薄れてしまうかもしれません。
贈る際には、稲佐の浜でいただき、素鵞社で交換した神聖なものであること、そして感謝の気持ちを込めて大切に扱ってほしい旨を伝えるようにしましょう。

出雲大社の砂は人にあげても大丈夫ということが分かったね
実は私、人にあげたことがあるんだけどとても喜んでくれて私も嬉しい気持ちになったわ

御砂の正しい持ち帰り方と作法

出雲大社の御砂は、ただ持ち帰るのではなく、決められた作法に則っていただく必要があります。この手順を踏むことで、御砂に宿るとされる素戔嗚尊(すさのおのみこと)のご神威をしっかりと授かることができるのです。
1. 準備するもの
まず、手ぶらで向かってはいけません。以下のものを事前に準備しておくとスムーズです。
準備物 | 用途・ポイント |
---|---|
ビニール袋やジップロック | 砂を入れるために2枚あると便利です(稲佐の浜用と持ち帰り用)。 |
小さなスコップやスプーン | 砂を採取する際に手が汚れず、きれいにすくえます。 |
お守り袋や小瓶 | いただいた御砂を納めるための入れ物。現地でも購入可能です。 |
2. 稲佐の浜で砂を採取する
出雲大社へ参拝する前に、まず稲佐の浜へ向かいます。浜に着いたら、弁天島に祀られている神様に一礼し、砂をいただくことへの感謝を伝えます。
砂を採取する際は、波打ち際で「波が打ち寄せてきた時」にすくうのが良いとされています。これは、寄せる波が「幸運を運んでくる」と考えられているためです。逆に、引いていく波は運気を下げるとも言われます。
採取する量は、両手ですくえる程度で十分です。欲張って大量に持ち帰ることは避け、採取した後は、地面をならして元通りにしておくのがマナーです。
3. 素鵞社(そがのやしろ)で御砂を交換する
稲佐の浜の砂を持ったら、出雲大社へ向かい、通常の作法で拝殿などを参拝します。その後、御本殿の裏手にある「素鵞社(そがのやしろ)」へ向かいます。
素鵞社は、大国主大神の親神にあたる素戔嗚尊が祀られている、境内でも特に強いパワースポットとして知られています。社の床下には木箱が設置されており、ここで砂の交換を行います。
【交換の手順】
1. 素鵞社に参拝(二礼四拍手一礼)します。
2. 社の床下にある木箱に、持参した稲佐の浜の砂を納めます。
3. 同じ木箱から、清められた御砂をいただきます。

いただく量はどのくらいがいいの?
御砂をいただく際は、自分が納めた稲佐の浜の砂よりも少ない量をいただくのがマナーとされています。感謝の気持ちを忘れず、謙虚な心でいただきましょう。
こうしていただいた御砂は、神聖な力が宿る特別なものとなるのです。
御砂の効果とご利益の期間について

素鵞社でいただいた御砂には、様々なご利益があると伝えられています。
その力は、素鵞社の御祭神である素戔嗚尊の神徳に由来するものです。素戔嗚尊は、神話で八岐大蛇(やまたのおろち)を退治した英雄神であり、厄払いや災難除けの神様として知られています。
このため、御砂には主に以下のような効果が期待できると言われています。
- 土地の浄化・お清め:家の敷地に撒くことで土地を清め、清浄な空間を作るとされます。
- 厄除け・魔除け:玄関などに置くことで、外部からの邪気が入るのを防ぐと言われます。
- 家内安全・商売繁盛:家や店が清められることで、そこに住む人々や事業の安泰と繁栄に繋がると考えられています。
- 五穀豊穣:田畑に撒くと作物がよく育つという言い伝えもあります。
ご利益の期間は約1年
御砂のお清めの効果は、一般的に約1年間持続するとされています。そのため、1年が経過したら、改めて出雲大社へお礼参りに訪れ、古い御砂は稲佐の浜にお返しし、また新しい御砂をいただくのが最も望ましい作法です。
人へお渡しする際にも、このご利益の期間について一言添えてあげると、より親切でしょう。
出雲大社の砂を人にあげる際の具体的な方法

一軒家とマンションのどこに置く?置き方は?
持ち帰ったり、人からいただいたりした御砂は、住まいの環境に合わせて適切に置くことで、そのご利益を最大限にいただけると言われています。ここでは、一軒家とマンション・アパートそれぞれのケースに合わせたおすすめの置き方を紹介します。
一軒家の場合
土地に直接撒くことができる一軒家では、より広範囲に浄化の効果を期待できます。
- 敷地の四隅に撒く:家の敷地全体を守護し、清浄な結界を張るイメージで、少量ずつ撒きます。これは土地そのものを清める伝統的な方法です。
- 玄関の両脇に置く:盛塩のように、小さな白いお皿に御砂を盛って玄関の外の両脇に置きます。外からの邪気が家の中に入るのを防ぐとされています。
マンション・アパートの場合
共有部分が多いマンションやアパートでは、砂を直接撒くのが難しい場合があります。その際は、以下のような工夫でご利益をいただくことができます。
- 玄関に置く:小さな小瓶や袋に入れた御砂を、玄関の内側の目立たない場所(靴箱の上など)に置きます。外からの厄を持ち込まず、良い運気を呼び込む入り口となります。
- 部屋の四隅に置く:リビングなど、家族が集まる部屋の四隅に御砂を置くことで、部屋全体が浄化され、穏やかな空間が保たれると言われます。
- 観葉植物のそばに置く:植物の生命力と御砂の浄化パワーが合わさり、相乗効果が期待できるとされています。鉢の土に直接混ぜるのではなく、小瓶などに入れて根元に置くのがおすすめです。
置き場所の注意点
御砂は神聖なものですので、トイレや浴室、キッチンなどの水回りや、不浄とされる場所に置くのは避けましょう。湿気で固まってしまう可能性もあり、ご利益が弱まるとも考えられています。

人へ贈る際は、相手の住環境を考慮して、これらの置き方をアドバイスしてあげると喜ばれるでしょう
贈り物に最適な入れ物の選び方

出雲大社の御砂を人へ贈る際は、その神聖さを損なわないよう、入れ物にも心を配りたいものです。どのような入れ物を選ぶかによって、贈り物の印象や相手の使いやすさが大きく変わってきます。
主に、「お守り袋」と「小瓶」の2種類が人気の選択肢です。それぞれの特徴を理解し、贈る相手のライフスタイルや好みに合わせて選ぶのが良いでしょう。
例えば、常に身につけていたい方には携帯しやすいお守り袋が、自宅に飾りながらご利益を得たい方にはインテリアとしても映える小瓶がおすすめです。
次の項目から、それぞれの選び方と特徴を詳しく解説していきます。
おすすめのお守り袋とその特徴

御砂をお守りとして持ち歩きたい方へ贈るなら、「お守り袋」が最適です。出雲大社の周辺にあるお土産屋さんでは、御砂専用の可愛らしいお守り袋が数多く販売されています。
お守り袋を選ぶ際のポイントは以下の通りです。
- 生地の素材:砂が漏れにくい、しっかりとした生地のものを選びましょう。ちりめん素材などは見た目も上品でおすすめです。
- 内袋の有無:御砂専用として販売されているお守り袋の多くには、砂を入れるための透明なチャック付きのビニール袋(内袋)が付属しています。これがあると砂がこぼれる心配がなく、非常に便利です。
- デザイン:出雲にちなんだうさぎ柄や、縁結びを象徴する和柄など、デザインも豊富です。贈る相手のイメージに合わせて選ぶと、より心のこもった贈り物になります。
手作りのお守り袋も素敵
裁縫が得意な方は、手作りのお守り袋を贈るのも大変喜ばれます。相手の幸せを願いながら一針一針縫うことで、より一層の想いを込めることができます。

御砂の効果や由来を記した小さなメッセージカードを添えると、贈り物の価値がさらに高まりそうね
インテリアにもなる小瓶の活用法

御砂を自宅に飾って、空間全体を清めたいという方には「小瓶」に入れて贈るのがおすすめです。透明なガラス瓶に入れることで、御砂の神聖な雰囲気を目で見て感じることができます。
小瓶を選ぶ際のポイントはこちらです。
- 密閉性:砂がこぼれたり、湿気が入ったりしないよう、蓋がしっかり閉まるものを選びましょう。特に、温かみのあるコルク栓タイプの小瓶は人気が高く、開け閉めも簡単です。
- サイズ:高さ4cm、直径2cm程度の小さなものが、置き場所を選ばずインテリアとしても馴染みやすいためおすすめです。
- 形状:シンプルなガラス瓶のほか、ストラップが付けられるタイプのものもあります。これなら、お守りとして鞄などに付けて持ち歩くことも可能です。
透明な瓶に御砂を入れ、思い出の小物やドライフラワーなどと一緒に飾る「グラスサンドアート」にするのもおしゃれなアイデアですね!世界に一つだけの特別なインテリアになります。小瓶は100円ショップなどでも手軽に購入できますよ。

贈る相手の部屋の雰囲気に合わせて、おしゃれな小瓶を選んでみてね♪
喜ばれるお守りの作り方とコツ

いただいた御砂を、お守りとして丁寧に仕上げるための手順とコツをご紹介します。このひと手間をかけることで、より大切に扱ってもらえ、ご利益もいただきやすくなるでしょう。
1. 御砂をしっかり乾燥させる
稲佐の浜で採取した砂や、素鵞社でいただいた直後の御砂は、湿気を含んでいる場合があります。そのまま袋や瓶に詰めてしまうと、カビや固まりの原因になりかねません。
まず、持ち帰ったら紙などの上に御砂を広げ、風通しの良い日陰でしっかりと乾燥させましょう。天日干しをする際は、風で飛ばされないよう浅い容器に入れるなどの工夫が必要です。
2. 入れ物に丁寧に詰める
御砂がサラサラに乾いたら、いよいよ入れ物に詰めていきます。
- お守り袋の場合:付属の内袋(チャック付きビニール袋)に乾燥させた御砂を入れ、しっかりと口を閉じます。その後、お守り袋に納めて紐を結びます。
- 小瓶の場合:小さなスプーンや漏斗(じょうご)を使うと、こぼさずに綺麗に入れることができます。瓶の8分目くらいまでを目安に入れ、蓋をしっかり閉めましょう。
想いを伝えるメッセージを添える
完成したお守りを渡す際は、「出雲大社であなたの幸せを願っていただいてきました。大切にしてくださいね」といったメッセージカードを添えると、贈り手の温かい気持ちがより深く伝わります。

心を込めて作ったお守りは、受け取った人にとって何よりの心の支えとなるはずです
出雲大社の砂を人にあげる際のマナー総括
この記事では、出雲大社の御砂を人にあげる際の様々な疑問について解説してきました。最後に、大切なポイントをリスト形式でまとめます。

出雲大社での参拝があなたにとって心安らかなものとなりますように