栃木県を代表する「二荒山神社」。しかし、この名前の神社が日光と宇都宮の二箇所に存在することをご存じでしょうか。二荒山神社、日光と宇都宮の違いについて詳しく知りたいと考えている方も多いかもしれません。
実は、この二つの神社は名前こそ同じですが、その背景は大きく異なります。この記事では、日光と宇都宮は何が違うのかという基本的な疑問から、祀られているそれぞれの神様とご利益、そして両社がなぜ「二荒山神社の何がすごい」と言われるのか、その由緒ある歴史と社格に迫ります。
また、世界遺産・日光の社寺の一部である日光東照宮と二荒山神社の関係や、2つの二荒山神社はパワースポットとしても知られるスピリチュアルな魅力についても深く掘り下げていきます。参拝の記念となるそれぞれの御朱印のデザイン、実際に訪れた人々の口コミ、さらには各神社へのアクセス方法に至るまで、あなたが知りたい情報を網羅的に解説します。
二荒山神社、日光と宇都宮の根本的な違い

日光と宇都宮は何が違うのかを解説
日光と宇都宮にある二つの二荒山神社は、名前が同じであるため混同されがちですが、実際には全く異なる由緒を持つ神社です。したがって、両社の違いを理解することが、それぞれの魅力を知る第一歩となります。
最も基本的な違いは、その読み方と場所にあります。日光の二荒山神社は「ふたらさんじんじゃ」と読み、世界遺産「日光の社寺」の一角として、日光東照宮や輪王寺と共に厳かな杉木立の中に鎮座しています。
一方、宇都宮の二荒山神社は「ふたあらやまじんじゃ」と読み、栃木県の県庁所在地である宇都宮市の中心部、通称「明神山」と呼ばれる小高い丘の上に位置しています。
このように、一方は山岳信仰を背景に持つ自然豊かな聖地、もう一方は街の歴史と共にある中心的な存在という、対照的な環境にあります。この立地の違いが、それぞれの神社の雰囲気や役割にも大きく影響を与えていると考えられます。
日光二荒山神社 | 宇都宮二荒山神社 | |
読み方 | ふたらさんじんじゃ | ふたあらやまじんじゃ |
所在地 | 栃木県日光市山内(世界遺産エリア) | 栃木県宇都宮市馬場通り(市街地中心部) |
主な特徴 | 日光山信仰の中心。男体山をご神体とする。 | 宇都宮市のシンボル。市民の憩いの場。 |
雰囲気 | 杉木立に囲まれた静かで神聖な空間 | 街中にありながら緑豊かな開かれた空間 |
それぞれの神様とご利益を徹底比較

二つの二荒山神社は、祀られている主祭神が異なるため、いただけるご利益にも違いが見られます。どちらの神社を訪れるか考える上で、神様とご利益の違いを知ることはとても大切です。
日光二荒山神社の神様とご利益
日光二荒山神社では、主祭神として大己貴命(おおなむちのみこと)をお祀りしています。大己貴命は、出雲大社の祭神としても知られる大国主神(おおくにぬしのかみ)の別名で、国造りの神様であると共に、縁結びの神様として大変有名です。
このため、日光二荒山神社は良縁、恋愛成就、夫婦円満、家庭円満といった、人との縁に関するご利益を願う多くの参拝者で賑わいます。また、大己貴命は福の神・幸運の神様でもあることから、開運招福や商売繁盛のご利益も期待できます。
宇都宮二荒山神社の神様とご利益
一方、宇都宮二荒山神社のご祭神は、豊城入彦命(とよきいりひこのみこと)です。豊城入彦命は、第10代崇神天皇の第一皇子で、東国を平定するために派遣されたとされる武勇に優れた神様です。
そのため、宇都宮二荒山神社は、勝負運、必勝祈願、武運長久といったご利益で知られています。また、地域を開拓し、産業や文化の礎を築いた神様であることから、事業繁栄、リーダーシップ発揮、厄除け、交通安全など、現代社会を力強く生き抜くための幅広いご利益をいただけるとされています。
日光二荒山神社 | 宇都宮二荒山神社 | |
主祭神 | 大己貴命(おおなむちのみこと) | 豊城入彦命(とよきいりひこのみこと) |
ご利益 | 縁結び、恋愛成就、夫婦円満、開運招福 | 勝負運、必勝祈願、厄除開運、事業繁栄 |
二荒山神社の何がすごい?その歴史と社格

二つの二荒山神社のすごさは、その長い歴史と高い社格にあります。両社ともに、その地域で最も格式が高いとされる「一之宮(いちのみや)」の称号を持ち、古くから人々の篤い信仰を集めてきました。
日光二荒山神社は、奈良時代の767年に、僧侶である勝道上人(しょうどうしょうにん)によって創建されたと伝わります。男体山(古名を二荒山)を修行の場とし、山そのものをご神体とする山岳信仰の聖地として発展しました。平安時代に編纂された『延喜式』神名帳にもその名が記されている、由緒正しい古社です。
対照的に、宇都宮二荒山神社はさらに古い歴史を持ち、その創建は約1600年前の古墳時代、仁徳天皇の御代(353年)に遡るとされています。下野国(現在の栃木県)の開祖である豊城入彦命を祀る神社として、地域の政治・文化の中心であり続けました。鎌倉時代以降は宇都宮氏の氏神として崇敬され、幕末の戊辰戦争では戦火に見舞われるなど、まさに歴史の舞台となってきた神社です。
明治時代には、この「下野国一之宮」の社格を巡って両社の間で論争が起こりました。一時は宇都宮が国幣中社とされ、日光は県社に格下げされましたが、その後の回復運動により、最終的には両社ともに国幣中社という高い社格に列せられました。このように、国が認めるほどの格式と歴史を持つ点が、二つの二荒山神社のすごさと言えるでしょう。
日光東照宮と二荒山神社の関係とは

日光を訪れる多くの人が疑問に思うのが、世界的に有名な日光東照宮と二荒山神社の関係性です。両社は隣接していますが、その成り立ちと関係性を理解すると、日光の歴史がより深く見えてきます。
端的に言えば、日光二荒山神社は、日光東照宮が創建されるずっと以前からその地に鎮座していた「地主神」です。前述の通り、日光二荒山神社の歴史は奈良時代にまで遡り、日光山全体の信仰の中心でした。
江戸時代に入り、徳川家康公の遺言によって日光にその御霊を祀る東照宮が造営されることになりました。このとき、幕府は古来からの聖地であり、地主神である二荒山神社に敬意を払い、その神域に東照宮を建てたのです。言わば、家康公は神として、日光の土地の神様にご挨拶をして祀られた、と考えると分かりやすいかもしれません。
東照宮の造営に伴い、元々現在の東照宮の場所にあった二荒山神社の社殿は、現在の場所へと移されました。そのため、日光の社寺は「二社一寺」と呼ばれ、二荒山神社、東照宮、そして輪王寺が一体となって神聖な空間を形成しています。つまり、日光東照宮の存在は、日光二荒山神社という土台があってこそ成り立っていると言えるのです。
2つの二荒山神社、日光と宇都宮の違いを知り参拝

2つの二荒山神社はパワースポットでもある
日光と宇都宮の二荒山神社は、それぞれが異なる性質を持つ強力なパワースポットとして、多くの人々を惹きつけています。どちらも気のエネルギーに満ちた場所ですが、その源泉や特徴には違いがあります。
日光二荒山神社は、ご神体である男体山をはじめとする日光連山からの強大な自然エネルギーが流れ込む場所です。境内は広大で、樹齢数百年の杉木立に囲まれており、歩いているだけで心身が浄化されるような清浄な空気に満ちています。
特に、山岳信仰の長い歴史を持つことから、大地そのものが持つ根源的なパワーを強く感じられるのが特徴です。自然との一体感を求め、エネルギーをチャージしたいと考える方には最適なパワースポットと言えます。
一方、宇都宮二荒山神社は、北関東最大の都市である宇都宮市の中心に位置しながら、そこだけが別世界のような静けさを保つ「龍穴(りゅうけつ)」と呼ばれるパワースポットです。龍穴とは、大地の気が集まる場所を指し、古くから聖地とされてきました。
街の喧騒から離れ、人々が集い、繁栄してきたエネルギーが凝縮されています。そのため、都会的な活気の中で目標達成や自己実現への力を得たい、日々の生活を支えるエネルギーをいただきたいと願う方にとって、心強い味方となってくれる場所です。
注目したいスピリチュアルな見どころ

二つの二荒山神社には、ご利益を授かるだけでなく、訪れることで運気を高めたり、心を落ち着かせたりできるスピリチュアルな見どころが点在しています。
日光二荒山神社の見どころ
日光二荒山神社は、特に「縁」に関するスポットが豊富です。
神門の手前にある「縁結びの御神木」は、杉の木に楢(なら)の木が寄り添うように生えている珍しい木で、「好き(杉)なら(楢)一緒」の語呂合わせから、良縁のパワースポットとして人気です。
また、境内奥の神苑には、若返りの水が湧き出る「二荒霊泉」や、金運アップが期待できる「日光銭洗所」、様々な運試しができる「運試し輪投げ」など、楽しみながら運気を上げられる場所が多くあります。
宇都宮二荒山神社の見どころ
宇都宮二荒山神社では、その長い歴史を感じさせるスポットがスピリチュアルな魅力を放っています。
本殿の近くにある「明神の井」は、李家幽竹氏の著書でも紹介されたパワースポットで、女性は美しさ、男性は包容力をいただけると言われる湧水です。
また、境内には十二の末社が鎮座しており、それぞれ異なる神様を祀っているため、一度に多くのご利益をいただける「神様のデパート」とも言えるでしょう。幕末の戊辰戦争の際に付いたとされる弾痕が生々しく残る石灯籠もあり、激動の時代を乗り越えてきた神社の力強いエネルギーを感じ取ることができます。
それぞれの御朱印のデザインを比較
参拝の証としていただける御朱印は、それぞれの神社の個性や歴史が反映されており、旅の思い出としても大変人気があります。日光と宇都宮の二荒山神社でも、特徴的な御朱印をいただくことができます。
日光二荒山神社の御朱印
世界遺産に登録されている日光二荒山神社では、複数の種類の御朱印が用意されているのが特徴です。
山内にある本社の御朱印には、社名と共に「世界遺産」の印が押されることもあります。また、中禅寺湖畔にある中宮祠、そして男体山山頂の奥宮でも、それぞれ異なるデザインの御朱印をいただけます。
特に山頂の奥宮の御朱印は、登拝期間中しかいただけないため、大変貴重です。季節ごとの限定御朱印や、神橋の御朱印などもあり、訪れるたびに新たな発見があります。初穂料や受付時間は、事前に公式サイトで確認するのが確実です。
宇都宮二荒山神社の御朱印
宇都宮二荒山神社の御朱印は、力強く流麗な筆致で書かれた社名と、「下野國一之宮」の朱印が特徴的で、その格式の高さを物語っています。
通常いただける御朱印のほか、正月や例大祭などの特別な日には限定デザインの御朱印が授与されることもあります。また、ユニークなものとして「しあわせ餃子おみくじ」があり、参拝の記念に楽しまれる方も多いようです。
御朱印の受付は社務所で行われていますが、時間帯によっては混雑することもあるため、時間に余裕を持って訪れることをお勧めします。
参拝前に確認したい口コミと評判

実際に神社を訪れた人々の口コミや評判は、計画を立てる上で非常に参考になります。ここでは、客観的な視点から両社の口コミをまとめてみました。
日光二荒山神社については、「世界遺産だけあって空気が違う」「杉木立に囲まれ、心が洗われるようだった」「縁結びの御神木は一見の価値あり」といった、神聖な雰囲気やパワースポットとしての魅力を評価する声が多く見られます。
一方で、「東照宮に比べて地味に感じる」「観光シーズンは非常に混雑する」「坂や階段が多くて歩くのが大変」といった意見もあります。壮大な自然と歴史を感じたい方には高く評価されていますが、体力に自信のない方や人混みが苦手な方は、訪れる時期や時間を考慮する必要があるかもしれません。
宇都宮二荒山神社に関しては、「市街地の中心にあるとは思えないほど静かで落ち着く」「初詣は大変賑わう市民の心の拠り所」「餃子を食べたついでに気軽に立ち寄れるのが良い」など、アクセスの良さと街のオアシスとしての役割を評価する口コミが目立ちます。
その反面、「日光のような壮大さや派手さはない」という声も聞かれます。日常の中で気軽に神社の清浄な空気に触れたい、歴史散策や街歩きと合わせて楽しみたいという方にとって、満足度の高い神社と言えそうです。
餃子や観光と楽しむ神社の選び方

日光と宇都宮、どちらの二荒山神社を訪れるか迷ったときは、旅の目的や一緒に楽しみたい観光スタイルに合わせて選ぶのが良いでしょう。
世界遺産巡りや大自然を満喫する旅を計画しているなら、日光二荒山神社が最適です。
日光東照宮や輪王寺と合わせて「二社一寺」をじっくり巡ることができますし、足を延せば中禅寺湖や華厳の滝といった風光明媚な観光地も楽しめます。温泉宿に宿泊し、ゆったりと時間をかけて日光の自然と歴史に浸りたい方には、最高の選択となるはずです。
一方、ご当地グルメやショッピングを旅のメインに据えるなら、宇都宮二荒山神社がおすすめです。
参拝後は、すぐ近くの商店街で名物の宇都宮餃子に舌鼓を打ったり、カフェで休憩したりと、アクティブな街歩きが楽しめます。JRや東武の駅からもアクセスしやすく、ビジネスや他の所用で宇都宮を訪れた際に、少し時間を作って参拝することも可能です。効率よく観光と参拝を両立させたい方にぴったりの神社です。
両社へのアクセス方法を詳しく案内
二つの二荒山神社へのアクセス方法は、立地が異なるため大きく違います。事前に最適なルートを確認し、スムーズな参拝計画を立てましょう。
日光二荒山神社 | 宇都宮二荒山神社 | |
公共交通機関 | JR日光駅・東武日光駅より「世界遺産めぐりバス」に乗車、「大猷院・二荒山神社前」バス停下車すぐ。 | JR宇都宮駅より市内バスに乗車、「馬場町(二荒山神社前)」バス停下車すぐ。または東武宇都宮駅より徒歩約10分。 |
自動車 | 日光宇都宮道路・日光ICより約10分。 | 東北自動車道・鹿沼ICまたは宇都宮ICより約20分。 |
駐車場 | 周辺に市営駐車場やコインパーキング有り(有料)。紅葉シーズンなどは大変混雑するため公共交通機関推奨。 | 神社提携の「馬場町駐車場」有り(参拝・祈祷で割引サービス有り)。その他、周辺にコインパーキング多数。 |
注意点 | 観光シーズンや週末は、日光市街地へ至る道路が激しく渋滞することがあります。 | 市街地中心部のため、時間帯によっては周辺道路が混雑します。 |

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上の地図が日光二荒山神社で下の地図が宇都宮二荒山神社です